国際化は、海外だけで起きているわけではない

国際文化学科で大切にしているのは、単に外国語を学ぶことだけではありません。異なる文化や価値観、背景を持つ人と出会ったときに、相手のことを知り、自分の考えを伝え、対話しながら一緒に考えていく。そうした「国際的な対話力」を、さまざまな学びを通して身につけていきます。 

国際文化学科のプロジェクト型授業「基礎ゼミC」のテーマは、「日本における国際化」を知ること。国際化は、海外だけ起こるものではありません。外国人のお客様への対応、外国籍社員との協働など、国際化は私たちの身近な企業や地域でも進んでいます。そこで学生たちは、実際の企業を訪問し、「日本の国際化によって、仕事はどう変化しているのか」を、自分の目で確かめました。

  • 国際文化学科は、1年次春学期から2年次春学期まで段階的にプロジェクト型(PBL)授業を配置しており、2年次「基礎ゼミC」では川口芝園団地やグローバル企業を訪問し、「日本の国際化」を知るフィールドワークを行います。

企業の現場で見つけた、「国際文化」の学び

7月8日、基礎ゼミCの学生たちは5グループに分かれ、旅行、不動産、ホテル、インフラ、商社など、さまざまな分野の企業5社を訪問しました。 
訪問先で学生たちが出会ったのは、海外を舞台に働く人だけではありません。 
日本に住む外国人への対応、海外赴任者のサポート、外国人のお客様へのサービスなど、日本国内でも「国際化」に向き合いながら働く人たちの姿がありました。

TOPPANトラベルサービス(株)様── 「旅行会社」のイメージが変わった

TOPPANトラベルサービスで学生たちが目にしたのは、旅行会社の仕事の幅広さでした。海外赴任や出張に必要なビザの取得、現地での危機管理、海外で働く社員へのさまざまなサポートなど、企業の海外活動を支える仕事について話を聞きました。旅行会社が、旅行の手配だけでなく、企業が海外で活動する際に生まれるさまざまな課題を支える「ソリューションビジネス」を行っていることを知りました。 

本学卒業生との座談会では、数年前まで同じ大学で学んでいた先輩が、実際に社会人として働く姿にも触れ、「国際文化学科の学びは、社会でどのようにつながっていくのか」 そんな問いを、学生自身が考えるきっかけになりました。

ハウスコム(株)様── 外国籍のお客様と向き合うということ

ハウスコムでは、外国籍社員の経験を伺う機会があり、日本語の壁やアルバイト経験、ビザ取得など、日本で働くまでの道のりを知り、学生たちは真剣に話を聞きました。 
同じ大学で留学生と学んでいても、「日本で生活する側」だけでなく、「日本で働く側」としてどのような経験をしてきたのかを知る機会は、決して多くありません。 

また、外国籍のお客様にも日本人のお客様と同じ基準で住まいを紹介するという企業の姿勢から、文化や国籍の違いがあっても、一人の相手として向き合うことの大切さを学びました。

(株)共立メンテナンス様── グループワークで試されたその場の対応力

共立メンテナンスでは、ホテル業界についてクイズ形式で学んだあと、グループワークに挑戦しました。「欧米のお客様が、このホテルに泊まるために日本へ来るとしたら?」そんな問いから、ホテルの立地を生かした文化体験など、新しいサービスを考えました。さらに、韓国語しか話せないお客様からクレームを受けた場合、どのように対応するかを考えるシミュレーションにも挑戦。限られた時間の中でグループで意見を出し合い、相手の立場を考えながら対応を考えました。 

ここで試されたのは、外国語の知識だけではありません。 
「相手は何に困っているのか」 
「自分たちとは違う背景を持つ相手に、どう伝えればよいのか」
相手の立場を考え、仲間と相談し、答えを導きだす。それもまた、国際文化学科で大切にしている「対話」の一つです。 

体験するだけで終わらない。教室で学び、社会で試し、もう一度考える

この授業は、訪問当日だけではなく、訪問前の事前学習と、訪問後の事後学習も大切にしています。
国際文化学科では、「国際的であること」を、価値観や背景の異なる人と対話する力と定義しています。専門ゼミに進む前の2年生が、その力を実社会で試す場が基礎ゼミCです。

訪問前には、学生自身が企業について調べて質問を考え、ビジネスマナーや当日の役割分担も確認します。「受け身で話を聞く」のではなく、「自分から対話しにいく」ための準備です。

訪問後は「楽しかった」で終わらないように、事後の授業では、気づきをふせんに書き出してグループで整理し、発表という形で学びを共有。聞いた話を自分の言葉に置き換えて初めて、体験は「使える力」になります。

基礎ゼミCでは、企業を訪問することだけを目的にはしていません。訪問前には、学生自身が企業について調べ、「何を知りたいのか」「何を聞きたいのか」を考えます。当日の役割分担やビジネスマナーも確認し、受け身で話を聞くのではなく、自分から対話する準備をします。そして訪問後には、グループで気づきをふせんに書き出し、互いの経験を共有します。 

一人の気づきをみんなで共有することで、自分だけでは気づかなかった視点にも出会います。 

「体験した」から、「考えた」へ。 
「考えた」から、「自分ならどうする?」へ。 

この繰り返しが、国際文化学科の学びです。

留学生との日常から、社会との対話へ

国際文化学科では、留学生と日本人学生が一緒に学びます。 
異なる文化や言葉、考え方を持つ人と日常的に関わる中で、「自分にとっての当たり前」が、相手にとっても当たり前とは限らないことに気づきます。 

そして、その気づきを教室の中だけで終わらせず、フィールドワークや企業訪問など、実際の社会へ持ち出します。さまざまな経験をつなげながら、学生たちは「国際」を自分自身の問題として考えていきます。 

「国際的に働く」とは、海外で働くことだけではない

今回の企業訪問を通して学生たちが気づいたのは、国際的な仕事とは、必ずしも海外で働くことだけではないということでした。 

外国人のお客様と接する。 
海外で働く人を支える。 
外国籍の社員と一緒に働く。 
異なる文化を持つ人の困りごとを考える。 

そこには、国際文化学科で学ぶ「異文化理解」や「コミュニケーション」が、実際の仕事につながる場面があります。 そして、その土台にあるのが、相手の背景を知り、自分の考えを伝え、違いがあっても対話を続ける力です。 

国際文化学科が目指す「国際的な対話力」は、特別な場所でしか使わない力ではありません。 大学でも、地域でも、企業でも。違う誰かと出会ったときに、相手を知り、自分で考え、一緒に答えを探していく。 その力を、留学生との日常的な交流、教室での学び、フィールドワーク、企業訪問など、さまざまな「人との出会い」を通して育てていきます。 

学んで、出会って、考えて、また学ぶ。それが、国際文化学科の学びです。 

●協力企業 
TOPPANトラベルサービス㈱/ハウスコム㈱/㈱共立メンテナンス/㈱サイサン/㈱タウ