【イベントレポート】中国と日本の「福祉」の異同からアジアの未来を考える特別講演会を開催!

2026年5月30日、聖学院大学にて、北京大学の白智立教授をお迎えした特別講演会「中国と日本 “福祉”とはなにか?」が開催されました。多くの中国人留学生や国内の学生が集まり、熱気あふれる空間となった本イベント。社会主義の中国と資本主義の日本、それぞれの歴史や行政制度の視点から「真の豊かさ」を問い直す、本学ならではのグローカルで先進的な学びの模様をレポートします。

近代化の先にある「大きな政府」と、日中で異なる福祉のキーワード

講演の冒頭、白教授は「中国では『福祉国家』にマイナスのイメージを持つ人がいる」という意外なギャップを提示しました。日中両国は政治体制こそ違えど、共に「近代化」を追い求めてきた共通点があります。近代化の最終段階として社会保障を充実させようとすると、国家や官僚制は必然的に巨大化します。すでに福祉国家を経験した「大政府」の日本に対し、伝統的に「小さな政府」だった中国は今、まさに福祉国家政策へ突入する変革の真っ只中にあると語られました。

「効率」か「公平」か。急速に進む少子高齢化に立ち向かうアジアのリアル

質疑応答では、心理福祉学科の留学生から「少子高齢化における効率と公平の両立」について鋭い質問が飛びました。白教授は、日本の医療・福祉が地域の隅々まで浸透して強い安心感を生んでいる一方で 、中国は急速な高齢化を背景に養老院ビジネスなどの巨大市場が立ち上がっている現状を解説 。さらに、若者の間で過熱する中国の公務員人気と、激務や待遇から志望者が減少傾向にある日本の実態を比較するなど、リアルな社会課題に迫るダイナミックな議論が交わされました。

学生の声

  • 心理福祉学部3年(留学生・中国出身):私は心理福祉学部の学生ですが、これまで福祉を主に現場での支援や個人の心理的側面からしか考えてきませんでした。先生が行政制度や国家治理の視点から中日両国の福祉の違いを比較して解説してくださったことで、福祉が社会全体の仕組みと深く結びついていることを改めて実感し、視野が大きく広がりました。特に両国が共に直面する少子高齢化の課題と、福祉政策が国民の心理的安全感に与える影響についてのお話は、今後の学習にとって非常に大きなヒントになりました。
  • 政治経済学部2年(留学生・ベトナム出身):本日の講演会を聞いて、中国の福祉に対する関心の変化がとても印象に残りました。私の母国であるベトナムも中国と同じ社会主義国で、「家族が互いに支え合う」という文化があります。そのため、以前は国の福祉があまり重視されていなかったというお話は、とても共感できました。しかし、近年の中国が急激に福祉を発展させている姿を見て、これから高齢化が進むベトナムにとっても他人事ではないと感じました。日本と中国の事例から多くを学ぶことができ、大変有意義な時間となりました。
  • 心理福祉学部3年(日本人学生):講義で日本の福祉の歴史を学ぶ際、他諸国に比べて日本の福祉は遅れていると学びます。しかし中国からの視点ではは日本の福祉は進んでいると聞き、とても驚きました。政府に期待してこれからの福祉の発展を望む日本と、個人から福祉を良くしていこうと動く中国との国民性の違いを濃く感じる講演会だったと思います。
  • 政治経済学部4年(日本人学生):国際政治を学んでいるので、福祉に関してはあまり関心がなかったが、今回の講演はとても興味深いもので、もっと関心を持つべきだなと感じました。日本と中国の福祉という言葉の認識の違いがあることは特に白先生の話を聴かないと認識することができず、中国の福祉を考える上で、間違った前提を立ててしまうことに繋がってしまうと思いました。

    当日の様子 Photo Gallery

    国境を越えた視点を手に入れ、世界の未来をより良く変えていく

    講演会後に行われた、白教授を囲んだ懇談会では、
    「日本では福祉人材が不足している問題がある。中国ではどうか」「日本で学んでいて、多文化共生について研究している。中国に戻ってから、この専門性を活かす仕事あるか」「日本では政府が国民にお金を配るが中国では配らない?」など、留学生たちの質問に一つひとつ丁寧に答えてくださった白先生。
    学生たちへ向けて「留学中に、ぜひ日本人の友人を作ってください」と、あたたかいメッセージをいただきました。

    聖学院大学では、机の上の勉強だけにとどまらず、海を越えたリアルな社会課題を自分事として捉え、仲間と共に議論を深める刺激的な環境が整っています 。国境を越えた視点を手に入れ、世界の未来をより良く変えていく、実践的な学びがここにはあります。あなたも聖学院大学で、世界を広げる新しい一歩を踏み出してみませんか?