人文学部子ども教育学科 連続講座 第2回「子どもの育ちを応援する」7月9日(水)開催 |「障害に対する見方と支援の在り方―自立活動について―」

2025年7月9日(水)、子ども教育学科のAH連続講座「共通テーマ:子どもの育ちを応援する」の2回目、「障害に対する見方と支援の在り方―自立活動について―」が開催されました。講師の野村春文客員教授は障害児教育の教員です。今日は、子ども教育学科の全員を対象に、野村先生の教育研究の集大成をお話しくださいました。
特別支援学校には「自立活動」という学習の領域があり、「自立活動の指導が各教科等において育まれる資質・能力を支える役割を担っている」紹介から始まりました。「自立活動」の内容は、WHO「国際生活機能分類ICF」の考え方を踏まえており、障害者差別解消法が規定する「合理的配慮の提供」ということとも関係します。「人間が生きるとは 環境とやりとりをしていくこと」という言葉が印象的でした。

ふれあいを通してひろがりに導く――「静的弛緩誘導法」とは?

講演の後半では、野村先生が取り組んでこられた障害児教育法である「静的弛緩誘導法」が紹介されました。この教育法は、「コミュニケーションの原点ともいえるふれ合いを通して子ども達の心とからだをひろがりに導く」ものです。教師の手が「おなか、せなか、むねに触れる」ことで子どもが「安心できる(気持ちが落ち着く)」と、子どもにとって「怖くない」「まわりの様子を受け止められる」経験となり、「環境と関わる力」が育ちます。
講演の中では、野村先生が実践されている様子の映像を通して、子ども自身の学習経験となるように教師の手が子どもを支える実際を学ぶことができました。

PROFILE野村 春文(のむら はるふみ)客員教授

聖学院大学 人文学部子ども教育学科客員教授。専門分野は特別支援教育、肢体不自由教育。著書に『母と子の静的弛緩誘導法』( 御茶の水書房、2010年)がある。

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受講生のコメント

  • 障害のある子どもにとって、言葉だけの関わりだけでなく、触れることはとても大切なことだと感じました。触れることで子ども自身による自己弛緩を誘導し、援助することができると学びました。コミュニケーションは言葉だけでなく、触れ合いもあるのだと考えました。障害のあるなしに関係なく、言葉と触れ合いを通して関わることで、子どもとの信頼関係に繋がると思いました。障害のある子にとっては先生や大人に触れてもらうことで安心感を感じていると思いました。私も、触れ合いを通して一人一人の子どもが安心できる援助をしたいと思いました。
  • 子どもとの心の安定を目指した関わり方について、改めてくわしく学ぶことができました。混乱している状況で子どもの身体(おなか、せなか、むね)に触れるというのは、子どもにとってとても安定した関わりになり、とても大切なものだと思いました。一人一人の発達や特性に応じた個人の支援で「できること」を広げていくことが大切だと思いました。子どもと関わっていくなかで、その子の特性を理解しながら、その子どもらしさを沢山引き出せるように支援していくことが大切だと思いました。
  • 肢体不自由があり一部の動きが制限されていると、他の感覚を学習する経験がとぼしく、上手く体を使うことが出来ない子どもがいる。だから、障害だから出来ないと決めつけないで子どもに触れながら感覚を教えていくことで、子どもが出来ることが増え、生活が楽しくなっていく。生きる力を身につけていく機会を学校の中で増やしていく。それが特に特別支援学校では重要だと感じました。

    当日の様子